北海道科学大学工学部情報工学科 松﨑研究室

車載動物避けスピーカーシステムの超指向性音に対する野生のエゾシカの反応調査(2022年11月28日)

(超指向性)音に対するエゾシカの反応調査実験はこれまで日の出の時間帯に行ってきましたが、2022年度は2022年11月28日(月)日の入り午後3時30分頃から苫東工業団地臨海部にて実施しました。撮影した動画の一部を紹介いたします。

スピーカーは車両の助手席側サイドミラーに約10度左に傾けた状態で取り付けられています。実験場所はすべて同じで、緩やかな右カーブ側にいるエゾシカを対象としています。

虎の鳴き声

車両走行時:緩やかな右カーブ道路左側脇と奥にいるエゾシカの反応

緩やかな右カーブ道路左側脇に4頭とそこから20m弱離れた位置で1頭が採食しています。車両がかなり接近してから道路脇の4頭が逃走していますが、これは車両がカーブに沿って曲がり始めた時にようやく音が聞こえる状態になったためではないかと考えます。奥にいる1頭は反応していませんが、これは道路脇から離れた、かつ道路より1m程低い位置にいるために超指向性音が聞こえなかったのが要因であると考えます。逃走した4頭は10m程度離れた位置にいる1頭に合流しました。

ライオンの鳴き声

車両走行時:緩やかな右カーブ道路左側奥にいるエゾシカの反応

虎の鳴き声の実験後の実験で、道路から20m弱離れた位置で5頭が採食しています。ライオンの鳴き声は虎の鳴き声に似ていますが、超指向性音が届く位置ではなかったためか、4頭は反応せず、通り過ぎる際に1頭が車両を注目するだけとなりました

シカの警戒声

車両走行時:緩やかな右カーブ道路左側奥にいるエゾシカの反応

虎の鳴き声など、他の音声での実験の実験で、道路から20m弱離れた位置で1頭が採食、4頭が休息しています。シカの警戒声はこれまでの実験で最も警戒行動が見られた音声ですが、本実験では通過する車両を注目はしていますが、座ったままで警戒している反応が見られません。これは、音が届いていない事の他に、同じ場所で同じ車両で同じエゾシカに繰り返し実験を行ったことから、エゾシカが車両自体に慣れてしまった事が考えられます。