北海道科学大学工学部情報工学科 松﨑研究室

走行車が発する音に対する野性のエゾシカの反応検証実験(2017年10月25日)

2017年10月25日(水)の日の出6時から苫東工業団地臨海部にて実施したエゾシカ反応確認実験の一部を紹介いたします。実験の詳細につきましては、「野生生物と社会」学会の学会誌に掲載された論文「シカ用警笛の音響計測とスピーカー再生された警笛音に対するニホンジカの反応調査」、あるいは2017年度北海道科学大学卒業論文「エゾシカと車両の衝突回避に対する音の有効性に関する調査研究」をご覧ください。

遭遇場所1

雌4頭と遭遇、ただし、最初に現れたのは2頭で、残り2頭は別の場所から合流するように現れました。(遭遇した場所のGoogle Map

無音

雌2頭が注目行動を示しました(0:20~)。この後、1頭が移動して姿が見えなくなりました。

警戒超音波

雌1頭が注目行動を示しました(0:24~)が、すぐに採食行動に戻りました。

警戒合成音

雌2頭(1頭は草原から出現)が注目行動を示した(0:30~)後、走行車が近づくと、カメラのフレーム外に居た別の2頭も加わって逃走しました。

警戒声

警戒合成音で全ての個体が逃走してしまったため実験できませんでした。

遭遇場所2

道路から約200m離れた場所で雄1頭と雌8頭(ただし小鹿が含まれているかもしれません)の群れと遭遇しました。(遭遇した場所のGoogle Map

無音

全ての個体が菜食など通常行動のままでした。

警戒超音波

群れの中の雌1頭がしばらくの間注目行動を示しましたが、やがて採食行動に戻りました。

警戒合成音

雌1頭が注目行動を示した(0:13~)他は、菜食など通常行動のままでした。

警戒声

雌7頭が注目行動を示しました。他は隠れていて確認できませんでした。

遭遇場所3

雌2頭と遭遇しました。(遭遇した場所のGoogle Map

無音

遭遇場所2の警戒超音波実験直後に現れたため、実験しませんでした。

警戒超音波

最初に1頭が注目行動を示し(0:16~)、遅れて走行車が通過する直前に別の1頭が注目行動を示しました。

警戒合成音

1頭が別の場所に移動してしまったので、撮影は1頭のみとな理ました。注目行動の後、警戒行動Aを示しました(0:23~)。

警戒声

全ての個体が別の場所に移動してしまったため実験できませんでした。

遭遇場所4

体格の大きい雄1頭と雌1頭と遭遇しました。(遭遇場所のGoogle Map

無音

雌は常時、撮影地点を注目していました。走行車通過直前に2頭とも注目行動を示しました(0:24~)。

警戒超音波

全ての個体が別の場所に移動してしまったため実験できませんでした。

警戒合成音

全ての個体が別の場所に移動してしまったため実験できませんでした。

警戒声

全ての個体が別の場所に移動してしまったため実験できなませんでした。

遭遇場所5(走行車を停車して実験)

遭遇場所4と同一の個体と思われる雄1頭と、警戒声を使用したときに草原の中から現れた雌2頭(あるいは雌1頭と雌雄不明の子鹿1頭)と遭遇しました。(遭遇した場所の Google Map

警戒超音波

注目行動を示した(0:16~)後、直ちにに菜食に戻りました。

警戒声

注目行動の後、歩行移動Aを示しました。この警戒声を流している間に、雄のそばの草原から逃走と思われる形で雌2頭が現れました。

警戒合成音

雄が移動していなくなり、上記で現れた雌2頭だけになったので、これらの雌2頭に対して警戒合成音を流しました。しばらく様子を伺いながら注目行動を示した後、逃走、再び停止して注目行動を示しました。ビデオには写っていませんがこの後逃走しました。